泡沫の恋人
(1)
ドアを開けたら
僕らは他人同士になる
君は僕の事を
忘れてしまうだろう
間の抜けた雑居ビルから
非常ベルが鳴り響く
僕は黄ばんだTシャツのような
駄洒落をひとり考えていた
泡沫(うたかた)の恋人
蜃気楼の街のおとぎ話のように
さよなら さよなら
(2)
ベッドの中では
あんなに饒舌な僕らは
何もかも終わると
途端に無口になる
新興宗教の群れ
鐘や太鼓を鳴らして
すれ違いながら僕が見たのは
恋した人に似た顔だ
泡沫の恋人
蜃気楼の街のおとぎ話のように
さよなら さよなら