幸せは日傘の下に
(1)
このコンビニが建つ前に
ここには何があっただろうか
思い出せない
弾けないギターのピックを握り
弾けないピアノの前に座り
僕の五線譜は白紙のままで
音階を持たない言葉だけが
ただ過ぎ去ってゆく
もし幸せが日傘の下に
あるとしたら
僕は今 何のために歌うのだろう
(2)
このコンビニが建つ前に
不思議な老婆の家があった
緑のシャツ
弾けないギターはもう売ったんだ
弾けないピアノは譲ってしまった
僕の五線譜が汗でにじんだ
練習をしないで臨んだあの
発表会の日に
もし幸せが日傘の下に
あるとしたら
僕は今 何のために歌うのだろう